ゲームする期

ゲームに育てられた30代男性が、レビューを中心に書いています。

【プレイ感想】JUDGEMENT 7 俺達の世界わ終っている。【switch】

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ざざざっとクリアしたので感想を。少人数で作られて熱い展開のあるADVですが、自分の好みには合いませんでした。何故楽しめなかったか、どんな人なら楽しめそうか、考察してみたいと思います。内容のネタバレはありません。
本作は「サザエさん」に通じるものがあるように思います。

 

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正式タイトル:JUDGEMENT 7 俺達の世界わ終っている。

公式サイト:http://5pb.jp/games/j7/

ジャンル:新世界ADV

発売日:2019年2月28日

プレイ時間:約15時間(複数エンド確認)

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オリジナル版の発売は2017年ですので、かなり遅れたタイミングですが、セールを利用してプレイしてみました。

科学ADVはシュタゲのみプレイ済みですが、それも相当前のことになります。

あとオカルティックナインはアニメ観てたくらいですかね。

(余談ですがこの流れでオカルティックナイン調べたら原作が未完のまま放置になってるみたい・・・。)

 

ちなみに本作はもともと「サクラ大戦」などで知られるレッド・エンタテインメントの開発なので、科学ADVのシリーズではないようです。私はそのあたり知らずにプレイしました。

 

お話は、浅草のゲーム会社で働く、個性の塊みたいな7人が開発中のデバイスを試していたら仮想世界に迷い込み・・・、謎が謎を読ぶ。そんな感じです。

 

「浅草」とか「ゲーム会社」っていうのは僕にとっては新鮮な舞台でした。

これも後から知りましたが、開発会社がもともとこの地にあったんですね。

そういう辺りを知っていくと、この作品が私小説のような側面も持っているような気がして、開発者の作家性が出ている作品が好きな自分の胸は少し熱くなりました。

 

とはいえ、正直いってプレイ中はあまり楽しめていませんでした。

熱量ある作品は売れてほしいと思うからこそ、

それらを考察することで、こういった開発者の情熱が感じられる作品が、本当に楽しめる人の手に届いたら良いなと思う次第です。

 

ちょっと長くなってしまったので、目次をつけます。

 

 

・システム上の問題

本作がMAGESから完全版として発売されるに当たって、ボリューム増とUIは徹底的に見直されたそうです。確かに基本的な操作で困ることはないし、必要なオプションは揃っています。

中でもフローチャートは細かく、好きな場面からやり直すには素晴らしい出来です。

ただ、タイトル画面やオプション画面はスタイリッシュさを優先して、どこに何があるのかわかりませんでした。

それ以上に気になったのが、

 

既読スキップがあまりスムーズではない。

→周回プレイをする上で重要な機能ですが、キャラに動きがあると(といっても、立ち絵がちょっと上下したりする程度)スキップが適用されないことが多々あります。

また、読み込みなのか、文章も表示されずに数秒止まることもあり、地味にフラストレーションが溜まりました。

 

フローチャートを使用した場合のパラメーター

→本作には好感度システムがあり、選択肢などで上下します。

選択の結果、誰にどの程度好感度が上がったのかをフローチャートで確認出来るので非常に便利です。よって自分は、フローチャートをこのように利用しました。(二周目以降の話)

「現在はシナリオ中盤だが、序盤の選択肢を良いものに変えて、分岐のある終盤にジャンプしよう」

これ、昨今のADVでは特に不自然な動きではないと認識しています。

 

しかし、フローチャートを使ってジャンプすると、「ジャンプ先のシナリオを最後に遊んだ時の好感度が適用される」仕様になっている模様です。

つまり、選択肢をやり直したら、そのままシナリオを進めなければならない。

これがめちゃめちゃめんどくさかったです。

 

フローチャートには過去に選んだ選択肢は色が変わってオープンになっているのですが、「現在の進行でどれを選んだか」は表示されないので、下手にジャンプするほど訳がわからなくなります。

これはもう少しやりようがあったのではないかと思ってしまいました。

フローチャートを使ってシナリオを飛ぼうとすると、一応確認の文章は出るのですが、イマイチ要領を得ませんでした。自身の読解力の問題もあるとは思いますが。

 

・イベントスキップ機能

→これも周回プレイに影響するのですが、既読スキップとは別に「次の選択肢か章の頭まで一気にスキップする」機能があります。

上記のフローチャートの仕様があるため、これがめちゃめちゃ便利なんですが、この存在に気づいたのはもう複数周回したあとでした。

というのもオプション画面には記載がなく、キーコンフィグの中にあるだけなので、昨今の説明書の無いゲームが当然の流れでは、確実に気づかないと思います。

 

・選択肢システム「S.O.Sシステム」について

本作の独自要素として、一般的な選択肢以外に、SOSと呼ばれるものがあります。

これは選択肢がニコニコ動画のコメントみたいに流れていくっていうだけで、基本的には時限選択肢をサブカルっぽく示したものになります。

 

これ、全ての選択肢が流れ切った場合は「無言」という反応をしたことになるので、大抵悪い結果を招きます。まぁこれでお分かりになるかと思いますが、

全ての選択肢を並べて検討することができません。

緊張感を持たせたい意図はわかりますけど、実際にプレイすると、このシステムを採用するメリットは見た目だけのように感じました。

 

・演出について

本作はADVとしてはかなりオーソドックスな作りで、基本的にはキャラの立ち絵が表示されている状態で物語が進行し、時折イベントに合わせた一枚絵が表示されます。

キャラの立ち絵のクォリティは高いと思いますが、一部ちょっと首をかしげるものもあります。

また、一枚絵は立ち絵に比べるとクォリティが劣るものが多いように感じます。

インタビューを見る限り外注での制作らしく難しい部分もあったとは推察できますが、一枚絵は華なだけに残念なポイントでした。

 

そして、一枚絵が無い場面での演出がかなり前時代的です。動きのあるシーンでは基本的に立ち絵が震えるだけ、戦闘シーンもちょっとしたエフェクトとSEが繰り返されて、若干シュールです。物語の肝の仮想現実まわりは比較的良いのですが、これは見慣れてしまうだけに他のシュールさが際立ちます。

 

・物語・設定上の気になるところ

ここからはシナリオに関わる部分なので、良しあしというよりは好みの範疇になります。実際は上記のことより、ここが楽しめれば万事OKだとも思います。

よって、自分はこういうところが楽しめなかったという部分を書きますので、ご自身の好みと照らし合わせてみてください。

 

・とにかく描写が多い。凄まじい物量の中身はほとんどが「やりとり」

本作のメインキャラは7人。しかも全員がかなり個性豊かな面々です。

全員がボケでもあり、ツッコミでもあり、その度に彼らのパーソナリティを押し出した会話が挿入されます。

お陰で話が進まないこと進まないこと。

何かある度に全員の立ち絵が順々に表示されるのを眺めては「またか」という気持ちになっていました。

しかも、その中にはかなり(意図されて)しょうもない下ネタが多分に含まれます。

 

ただ、これは僕が「メインストーリーの進行を期待している」からに他なりません。

キャラクター達に愛着がある人にとっては、このやり取り自体がキャラの個性を強調させて、より好きになるきっかけだと思います。

この作品の魅力は、間違いなく「濃いキャラ達のドタバタ劇」です。

これはプレイする人全員に理解しておいてほしいところです。

 

・王道設定・ご都合展開が多いのも気になった

テンプレ的とまで言いませんが、既視感ある設定や展開が多く感じてしまって、僕はキャラクターにあまりのめり込まなかったところがあります。

 

天然巨乳、太った中二キャラ、金髪天才幼女、平凡だけどやるときはやる主人公、など。

この辺ってあくまでも表面的な部分ではあるんですが、上記のようにこの設定を前提にしたやりとりが何回も繰り返されます。「そういうキャラね」と、少し斜に構えてしまう僕はこの時点で心が掴まれていなかったということです。

 

ストーリーに関わる設定にもいささかご都合主義的な印象がありました。

凄くわかりやすいところだと、身近に世界的な頭脳が二人もいるという点ですね。

そのレベルはアメリカ国防総省をも超えるみたいなのがサラっと語られたときに、物語を真剣に考えることはなくなりました。

これは重要で科学アドベンチャーが好きな人はこういうところに嫌気がさす可能性があります。

 

・アニメを見るように、少しずつプレイするのがお勧め

自分がADVに(無意識に)求めているのは、

「腑に落ちる設定と、驚きのあるストーリー展開」といえるかもしれません。

また、意外性のあるキャラや信念が感じられるキャラクターも好きですね。

いつもADVをやると止まらなくなって、寝不足になりながら短期間でクリアしてしまうことがほとんどです。

 

本作は、そういうプレイヤーには向いてないと思います。

 

このゲームでは王道の設定を持ったキャラのドタバタしたやり取り、小さなネタとオチを繰り返します。

これって、日常系アニメとかと近いと思います。もっと言えば「サザエさん」とか「ちびまる子ちゃん」みたいな、国民的アニメにも近く感じます。

彼らは毎話、何らかの事件をきっかけにして、キャラクター達のパーソナリティに基づいた展開があり、一応のオチがついていきます。このきっかけが毎回変わるだけで、

キャラクター達の動きにはほとんど驚きが存在しません。

 

また、一昔前のコント番組のように、「笑いどころ」がわかりやすいというのもあります。毎週見てたコント番組、キャラと展開は同じだけどゲストが違うみたいなのありませんでしたか?それと同じだと思います。

 

わかりやすい個性を備えたキャラを愛し、彼らのやり取りを安心感を持って見届け、

ゆっくりと動く「大きなストーリー」を追っていく。

数クールあるアニメシリーズってこういう感じですよね。

 

ということで長々と書きましたが、

・僕が本作をお勧めするならこんな方です

 

・キャラ絵に惚れた。

→ぶっちゃけこれがあれば大丈夫だと思います。そのキャラを掘り下げるエピソードは山ほどありますから。

 

・ハーレム系もしくは日常系アニメが好き。

→上記の通りですね。女の子も多く、ハーレム系展開も王道的にあります。

 

・やっぱりなんだかんだで「王道」が一番。

→奇をてらった作品が苦手という人も当てはまりますね。

 

・一気に長時間プレイはできない、したくない。

→社会人には重要な部分だったりします。一気にプレイするとしつこく感じてしまうかも。

 

・基本的に明るい雰囲気が好き。

→これはそのままですね。本作だけに言えることではありませんが、本作は特にカラっとしてると思います。

 

・声優さんが好き。

→僕はあまり関心が無いのですが、それでもわかるくらい名演が多いと思います。文章だけでも個性豊かなキャラ達にしっかり命が吹き込まれています。

特にお気に入りの声優さんがいるなら尚のことお勧めします。

 

僕自身、好きにはなれないけど、良いゲームだとは思っています。

こうした気持ちは中々珍しいので、ついつい考えてしまいました。

長文失礼しました。

 

 

JUDGEMENT 7 俺達の世界わ終っている。 - PS4

JUDGEMENT 7 俺達の世界わ終っている。 - PS4

  • 発売日: 2019/02/28
  • メディア: Video Game
 

 

 

俺達の世界わ終っている。 - PSVita

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  • 発売日: 2017/11/09
  • メディア: Video Game
 

 

 

サザエさんと長谷川町子 2020 夏 (週刊朝日増刊)

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